運用型広告での動画活用のポイント
広告運用において各社媒体のAIの進化によって、クリエイティブの重要性に注目が集まってきています。クリエイティブのPDCAを回していくことはもはや必須と言われ、様々なナレッジの発信も少し検索すると大量に出てきます。
しかし、実際に世の中で配信されているクリエイティブを見ると、あまり運用型広告として効果的と思われないクリエイティブが多くあります。さらに、動画に関してはTVCMをそのまま使用していたり、特に運用型広告として効果的と言えない形での配信が多くされています。
そこで今回は、私のWEB広告代理店の運用者として様々なクリエイティブのPDCAをおこなってきた経験と、動画制作会社のプロデューサーとして豊富な動画制作をおこなってきた経験を合せて、「運用型広告」における効果的な「動画クリエイティブ」の制作ポイントを解説いたします。
Contents
運用型広告におけるクリエイティブの重要性
まずは、そもそも何故に運用型広告においてクリエイティブの重要性が高くなっているのか?様々な理由がありますが、私は下記の2点に集約されると考えています。
①クリエイティブ以外はほぼAIで最適化され人の介在余地が無くなった。
②そもそも、広告ってクリエイティブが超大事
①クリエイティブ以外はほぼAIで最適化され人の介在余地が無くなった。
運用型広告の運用者がおこなうことは主に、「入札(戦略)設定」「ターゲティング」「クリエイティブ」の3つになります。
このうち「入札(戦略)設定」と「ターゲティング」は、媒体のAIの進化によって、ほぼ”お任せ”が一番成果が出やすくなっています。
細かい例を出すと、検索広告のKWのマッチタイプは「部分一致」で自動入札、Metaは「Advantage+」で予算、ターゲティングを自動で最適化が大抵のアカウントで最も効果的な運用方法になります。
そこで、何で他社よりも高いパフォーマンスを出すのかとなると、「クリエイティブ」のパフォーマンスを高めるしかないのです。
また、このような状況のためクリエイティブに力を入れる競合が増えており、相対的に必要性も高まっているのです。

②そもそも、広告ってクリエイティブが超大事
そもそも、従来は広告においてクリエイティブは非常に重要でした。むしろ、広告=クリエイティブといっても過言ではないかと思います。
私はWEB広告代理店の前に総合広告代理店にいたのですが、当時、WEB業界に入って一番感じたのは、クリエイティブへの関心がかなり低いことでした。
理由は、先に上げた広告運用者がおこなうことの「入札」と「ターゲティング」を人の手で調整することが成果上げる上でもっとも重要だったからです。各媒体の穴を突くような、いわゆる「ハック」するといったことが、もてはやされていました。
そのため、クリエイティブの制作にかけるリソースの優先度は低く、0→1のクリエイティブ制作をできる人間はかなり少なかったと思います。
しかし、如何に「入札」と「ターゲティング」を頑張って最適な露出をしたとしても、興味を持ってもらえなくては何の意味もありません。そして、興味を引く役割は「クリエイティブ」のみが担っています。
つまり、相対的に注目されていなかっただけで、本来、広告運用においてクリエイティブはずっと重要な要素だったのです。
運用型広告における動画の重要性
運用型広告に関わる多くの方にとって重々承知の内容かと思いますが、おさらいの意味も込めてお付き合いください。
運用型広告のクリエイティブにおいて、動画活用が重要な理由はシンプルに広告運用のパフォーマンスが高まるからです。
静止画のバナーだけで配信しているよりも、動画も配信した方が多くの場合で成果が良くなります。各媒体社も動画の活用を強く推奨しているかと思います。
関連するデータを少し紹介します。
Yahoo! JAPANの調査によると、同条件で配信した動画クリックユーザーと静止画クリックユーザーのうち、重複しているユーザーは全体のわずか3.7%ほどという結果でした。
このことから、静止画、動画いずれかではなく、静止画と動画の両方のクリエイティブを配信することで、より網羅的なユーザーのクリックやコンバージョンを獲得できると考えられます。

出典:Yahoo! JAPAN調べ
※旅行・交通業界某社のYDA(Yahoo!ディスプレイ広告)配信事例
※特定アカウントにおける同一期間に動画/静止画双方にインプレッションしたユーザーのクリック重複率
※動画広告と静止画広告で出稿ボリュームは異なります
この他にも、静止画と動画を比較して動画の方がCVRが高くCPAが安価になるなどのデータは多く公開されており、運用型広告において動画活用が重要であることは、一般認識レベルかと思います。
なぜ、できないのか?
ここまで、運用型広告におけるクリエイティブの重要性、動画の重要性を説明してきました。すべて、既に様々な場所で言われていることで、広告運用に関わる方ならば、大抵認識されていることかと思います。
しかし冒頭で述べたように、ではなぜ、広告運用において動画の活用が上手くできていない企業が未だに多いのか?
次項の本題の導入として私の見解を述べます。
一番の理由は、動画制作の現場では運用型広告のリテラシーがほとんど無いことだと思います。
バナーデザインと比較して動画は制作のハードルが高く、動画制作会社に依頼しているケースが多いかと思います。
そうすると、動画制作会社には運用型広告のリテラシーがあまり無いため運用型広告で使用するのに効果的な構成や仕様でなくなってしまうことが多くあります。
また、リテラシーがあまり無いため依頼する広告運用者も共通認識や共通言語といった観点でディレクションが難しくなっています。
そこで、次項でやっと本題ですが、動画制作の現場や広告主などが、把握しておくべき運用型広告の基本ポイントを紹介します。
運用型広告における動画の制作ポイント
前項で述べた通り、動画制作の現場や広告主などが、把握しておくべき運用型広告における動画クリエイティブのポイントを紹介します。
こちらを大前提の知識として、制作をおこなっていくことで効果的な動画クリエイティブの運用がおこなえるようになります。
①ダメ!TVCMそのまま!
②動画は複数用意!
③媒体の主な視聴が音の有無どちらか確認!
①ダメ!TVCMそのまま!
あるあるな話しですが、TVCMの動画を運用型広告でそのまま配信するのは非常に残念です。また、TVCM用に制作をしていなくても、TVCMの構成が染みついたベテランのプランナーの方が制作する動画は運用型広告に適していない事が多いかと思います。
理由は簡単で、TVCMと運用型広告では視聴のされ方に大きな違いがあるためです。

TVCMと運用型広告の主な違いは下記2点です。
・スキップ機能の有無
・デバイスサイズ
スキップ機能の有無
スキップ機能の有無に関しては、WEBの動画広告は大抵スキップ機能があります。YouTubeは5秒でスキップでき、InstagramやTwitterなどは最初からスキップ(スワイプ)ができます。そのため動画の冒頭は如何にスキップされないよう興味を引くかが最重要となります。ストーリー性などを凝っても無意味です。人間が瞬間で直感的に興味をもつような要素を冒頭に入れます。
シズルやタレントの顔等はシンプルに効果的です。「○○でお悩みではないですか?」的な課題提示・あおりなども効果的です。
デバイスサイズ
デバイスサイズは、テレビ画面とスマートフォンという単純な違いですが非常に重要です。絵が引きすぎていて、細かくて、スマートフォンの画面ではぱっと見で伝わってこない動画がとても沢山あります。撮影やデザインに大きく関わる部分なため制作の現場レベルで理解しておくことが必要です。
②動画は複数用意!
バナーを複数本用意して検証することは当たり前になっていますが、動画となると1本だけというケースがよくあります。制作費の違いや動画は気合いを入れて質の良いものをつくるというイメージが理由かと思います。
しかし、それでは運用型広告のメリットの大半を失っている状態です。質(単価)を下げてでも複数本作成し検証する方が施策成果は確実に高くなります。
ターゲティング軸や商材の価値軸、表現軸など様々な軸で特化したものを制作することが理想です。特に、ターゲティングはTVCMと比較して運用型広告の大きな利点です。
③媒体の主な視聴が音の有無どちらか確認!
運用型広告の中でもそれぞれ異なった特徴や気を付けるべきポイントがあります。その中で一番重要なのが、この音の有無です。
YouTubeやTikTokは音ありで主に視聴されており、InstagramやTwitterは主に音無しで視聴されています。そのため、InstagramやTwitterで音が重要な演出の動画は何も伝わらなくなります。もちろん、人物のセリフもです。これらの媒体で配信する際はテロップを入れたり、そもそも音が重要な要素にならないよう企画することが重要です。
逆に音ありで視聴される媒体は音も重要な要素になります。特にYouTubeはほとんどの人が最初から右下のスキップボタンに焦点を当てています。そのような状況で興味を引くのに音は非常に重要な役割となります。





